july "ぼんやり系"  〜 july

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●2002/07/31

なつのにおい

絵に描いたような夏雲の中、
僕は、学校のプールに行くんだ。
もちろん、学校の屋上に、オレンジの旗は立っていない。

コンクリのバリが残る渡り廊下を渡って
とびきり冷たいシャワーを浴びると、
ゴム帽子に頭を押し込めて、緑のプールサイドに急ぐ。

新鮮な水色が乱反射して、とっても旨そうだ。

プールサイドの上の、水たまりの熱せられた水の匂い。
波打つプールの、冷たい塩素の匂い。
ビート板の、ほころびたポリエステルの匂い。

競泳とかそういうのじゃなくて、
みんなと遊べる自由時間が好きだったな。




●2002/07/19

終業式

「あれ、ソフトクリームかなぁ」
「どれどれ、、、」
「あの、ホラ、あれ。。。」
「えー」

「あれさ、何に見える?」
「どれ、アレ? …なに?」

「…亀?」
「ぎゃははは…」

上履きを履き替える手前で、下駄箱の向かいの
大きな格子のガラス窓から、僕らは中庭越しの青空を見ている。
台風一過か、白い雲が次々と続いていた。

学校時代なんて、きっと沢山、いたずらに時間があって
何でもないことにそれなりな意味を持たせたりして、
そうして、よく遊んだものだ。

終業式が終わったら、次の式までず〜っと、途切れ目のない自由時間。
なんか気分ワクワクで、流れる雲を眺めていたんだろうな。


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●2002/07/12

夕立

『きたきた、きたぁ〜!!』


路上教習の終盤、コワイ教官が突然叫びだした。

「なな、なんですか?」
「ホラ、あれ、、、」

指さしたフロントガラスの向こうには、真っ黒な雲が迫っていて、
そして遙か向こうから、土砂降りの雨幕が
こちらに向かって攻めてきている。

平日夕方の教習に緊張していて、そんなの気づかなかった。


「あ、窓閉めて、クーラー入れてくれる? 雨の時はかけていいんだ」


トライアスロンとか、そういう競技について熱く語る教官の中に
少年の心と大人社会をちょっとだけ垣間見た、晩梅雨の出来事。

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(20歳の頃の思い出かなぁ)




●2002/07/05

ビニール傘

なんとなく手にしたビニール傘。
いつか、どこかのコンビニで買ったヤツだっけ。

明日も雨が降るかもしれないけど
こうして "もやもや" が続くかもしれないけど

チープで、向こう側が透けて見える分だけ
心無し、気持ちが晴れたりして。

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(ぃゃぃゃ、単に安かっただけで。)


◆to june


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