road "ぼんやり系"  〜 november

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●2000/11/24

鼻歌

人間の気持ちなんていい加減なモノで、
普段と変わっていないつもりでいても、結構気分が変動するものだ。

家に帰ったら、まず普通はTVをつけるところを、
今日に限ってはラジオだったり、無音の世界が良かったりする。

スタイニーが良かったところが、天然水のビールが良くなったり
コンビニ弁当が良くなったり、おにぎりにパンが良くなったり
新聞が良くなったり雑誌が良くなったり、ニュース番組がバラエティーになったり、
残業してトボトボ帰るのが、良くなったりする。


今日だって、散々な会社時間だったのに
寒い帰路を、一人鼻歌を歌って帰っている。



●2000/11/19

出前

母が電話を入れて、家族分を注文する。
ラーメンだと日曜の昼が多かった。

「ここにお金があるから、おじさん来たら貰って渡すのよ」

かなり待った後、無骨な自転車のスタンドの音を聞くと、
わくわく感は頂点に達する。
ドアを開けて迎れば良いのに、恥ずかしくてそのまま待ったりする。

「毎度あり〜」


ドンブリの "ラップ" を剥ぐ瞬間は二番目に好きだった。
三番目は、割り箸、かな。

−−−
今日ね、朝刊が来なかったんです。
で、夜に帰って来ても無かったんで、電話してみたんです。

すぐに持って来てくれたんですが、カブの音とかが凄く似てたから…

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●2000/11/10

あずさ2号

小学校か中学校の頃。
白馬で旅館を営む父親の実家に、一人で出掛けた。
新宿から "特急あずさ号" に乗り、直通便が無かった時間帯だったので
松本から在来線(大糸線)の気動車に揺られた。
駅を出る度、ぶぁんと派手なクラクションを鳴らすのに驚いた。

訪れた目的はもう忘れてしまったが、一泊か二泊かして、
天文ドームでM57を見せて貰った気がする。

朝は、山の方から絶え間なく流れ出る雪解け水の
速い流れの水の音で目が覚める。
何で遊んだのかは覚えていないが、田んぼ、川、道ばた、山々、塩の道など、
見るもの全部が、のんびりとしていて新鮮だった。

帰りには、今で言うメロンパンぐらいのデカさのおにぎりを二つ貰って、
"あずさ" の中でほおばった。
電車の中で暖かいお茶の水筒を買ったけど、一個食べるのが精一杯だった。


ただ一つ、当時の流行歌でいう "あずさ2号" じゃないのが心残りの旅だった。

(追伸:ていうか、時期的には "コスモス街道" のネタの方が良かったかしらん?)



●2000/11/03

惑星ランデブー

ふと見上げると、知らない星空があった。

"こう何年も夜空を見ないと、星座の形も忘れちゃう物なのかナァ…"

寂しさに浸ろうと思ってもう一度良く見ると、
実はそこは "おうし座" であることに気付く。
明るい "惑星" が二つ、雄牛に寄り添っていて判らなくしているのだ。
色と明るさからして、木星と土星だろうか。


『あの明るいのが木星で、こっちが土星ね』
『ふーん』

自転車通学をしていた高校時代。
木枯らしの帰り道に自転車を止めて、僕らは星空を眺めた。
彼女を目の前にして、星座を惑わす惑星のように
僕の心が揺れていたのを覚えている。

『…ねぇ、寒いから帰ろうよ』

彼女のこの言葉、何故か暖かく感じたりして。


◆to october


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"ぼんやり系" 〜 november 2000