最後の日〈2000.12.31〉


結局、時間はみなに平等にゆっくりと流れ、静かにその時はやってきた。
20世紀最後の日。

ワンダーエッグが、最後の営業を終える日である。

tower of druaga station kakehashi

徐々に知った顔が集まり、楽しそうに会話をする。懐かしい。
あどけなさの残る少年少女達は、れっきとした大人になっていた。

何年振りかに話しているのに、少し話をすると、まるっきりあの頃と変わらない。
さっき仕事が終わって、みんなでインパークしているようだ。





そして、最後の時。
アトラクションが、その入り口を閉めた。

もう、二度と開くことはない。

tamatei gate last carnival last battle last G3





自分は今でも、現在の仕事場にいながら、
ちょっとバタバタして事務所を出る時などに、はっとして
「帽子」をかぶっているかどうか、確認してしまうことがある。

もう、いいんだよ。
君は、その仕事は終わったんだ。



その場所への、エネルギー供給は、あと少しで終わろうとしている。
アトラクターが、帽子をとって、僕らの方を向いた。

「ワンダーエッグ、最高ー!!」

何かが、こみ上げる。

We candle WE3 STATION

spotlight message それぞれに





ロスタイム。閉園時間は過ぎている。
アトラクターアーチも、我々を待っている。


誰かが言った。

「踊ろうぜ」


自分は、自分から隣人の手を取って、初めてその輪の中に加わった。


last dance





「ここ昔、"二子玉川園"っていう遊園地があったんだよ。行ったことある?」

「あそこの駐車場に、おじさんがいるでしょ?
あの人たちはね、昔、ボクたちと一緒に、遊園地のおもりをしていた人たちなんだよ」

ちょっと前、ライドのオーバーホールをした時、点検の人が教えてくれた。

あたたかく、やさしい顔で、腕を大きく上げて作業車を迎えてくれる。
おじさんの、初めて見る表情だった。


時代は繰り返され、
思い出は、心の中に生きていく。

きっと、そういうことなのかも知れない。


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