Since:2000/4/21
未完成の夏
海にクラゲが出て、高校野球が終わって、
蝉の声が、虫の音に変わってゆく。
毎年いつも夏ばかりが、駆け足で過ぎていくように感じる。
欲張りすぎているのか、思い入れがありすぎるのか。
夏の頂から、秋の入り口へ。
季節は、少しずつベクトルを変えてゆく。
そして今年も、僕の夏は未完成のままだ。
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(とはいえ、学生の人はちゃんと宿題をやってネ。夏休み自由研究トカ)
盆と正月
この時期は、本当に人が居なくなる。
オフィスも、商店街も、スーパーも、駐車場も。
ただ密集しているだけの東京が、ガラガラになるのだ。
そこにただ人が居るだけで、出来ないこと。
そこに、単に人が居ないから、出来ること。
年に二回、そんな事を、ぼんやりと考えてみる。
だから僕は、盆と正月が、ちっと好き。
花火
「あら、今日はどこかの花火かしら?」
母はそう言って、北向きのベランダから大きく身を乗り出して
微かに聞こえる、ドン、ドンという音を頼りに、遠くを眺める。
「あそこだわ。昭和町かしら。四街道? ホラ」
指さす先には、遠くの森の上に、辛うじて見える夜空の大輪があった。
聞こえてくる音とは大分ズレて、
好き勝手に上がっては、忘れた頃に、音がついてくる。
みんなで見通しが利く所まで散歩すると
一つ上がり、消えては、また、一つ上がる、それを見つけた。
オーソドックスな色だけど、次、次と、色が変わる。
TVで見る、数や色を競い合う都会の花火を見ながら、
遠い記憶の中にある、夏を、思い出した。
ゆっくりゆっくり、一つずつ上がるのんびりした花火も、
なんかいいな、と思った。
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(今はネ、もう見通しは利かないみたいです。小学生ぐらいの思い出かな)
蝉
「え? 何しているの?」
彼女はおもむろにしゃがんで、蝉の亡骸を指でつまみ
雑草の方にそっと置いた。
「こうしてね、土の所に置いてあげるの。
そうしたら、かえれるでしょ?
…父さんがね、いつもそうしているから。私もそうしてるんだ。」
都心のオフィスの隣の小さな森で、一斉に鳴きだした蝉の音を聴きながら
そんな事を思い出した。
結局、別れてしまったんだけど、彼女は、今、どうしているのかな。
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なんか、夏って恋話(コイバナ)ばっか思い出すな…
…心当たりは、ご連絡下さい(笑)